オンボーディングとは?意味や特徴・メリットをわかりやすく解説
「新入社員の早期離職を減らしたい」「定着率の改善が急務」という場合に取り組みたいのが、オンボーディングです。会社という乗り物を動かす一員として新たに加わる人材が、入社前後のギャップに悩んだり、力を発揮できなかったりといった課題を解決する方法として注目されています。この記事では、オンボーディングの意味や目的、特徴、実施のメリットについてお伝えします。
オンボーディングとは
まずは、オンボーディングが何を指し、どのような特徴を持つのかについて見ていきましょう。
●オンボーディングの意味と特徴
オンボーディングとは、新入社員が新しい仲間や業務にスムーズになじめるようサポートすることを指します。オンボーディングという言葉は、英語の「on-board」からきており、飛行機や船などの乗り物に乗っている状態を意味します。会社という名の乗り物に新たに加わる一員を迎え、受け入れて一人前にしていくことだといえるでしょう。
オンボーディングの目的には、早期離職の防止や定着率の向上、新入社員の早期戦力化などがあります。業務に必要な知識やスキルの習得はもちろんのこと、職場の人間関係になじめるような配慮や、メンターのように気軽に話せる人を設けたりと、総合的なアプローチが必要です。
従来の新入社員研修よりも、さらに個人の能力や行動特性、価値観などに焦点を当てながら、柔軟かつ長期的に戦力化していくものだといえるでしょう。
●新入社員研修やOJTとの違い
新入社員研修やOJTとの違いには、次のようなものがあります。
・新入社員研修
対象者:新卒
対象期間:入社後の一定の期間
・OJT
対象者:新卒・中途採用
対象期間:一定の期間
・オンボーディング
対象者:新しく組織に加わった人材(新卒・中途採用を含む)
対象期間:継続的に実施
新入社員研修は通常、数日から数週間で実施されます。専門的な知識やスキルを習得させたい場合には、数か月におよぶこともあるでしょう。対象者は、新卒や第二新卒など若手向けというイメージがあります。
OJTは、実務を経験させながら業務に必要な知識やスキル、考え方などを習得させていくためのものです。特に決まった期限はないものの、新入社員研修と同様に数日から数か月というのが一般的なところでしょう。
一方、オンボーディングは新卒や中途採用だけでなく、組織に新しく加わった人材に対して、なじんでもらうまで継続的に実施していきます。また集団やグループではなく個別対応も行うことも特徴といえるでしょう。
オンボーディングが注目される背景
ここでは、オンボーディングがなぜ注目されるのか見ていきましょう。オンボーディングの重要性が高まりつつある背景と言い換えることもできます。
●人材難や人材の流動化
少子高齢化にともなう労働生産人口の減少は、売り手市場が今後も続くことを意味します。採用側よりも求職者側が優位なため、「この会社とは合わない」と思ったら、新入社員がすぐに辞める早期退職は珍しくありません。厚生労働省の調査によると、就職後3年以内の新卒の離職率は大卒で32.3%、高卒で37.0%と報告されています。
出典:「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」
また、人材の流動化もオンボーディングの重要性を高めているといえます。終身雇用制度の崩壊が指摘されて久しく、平均転職回数5回以上の割合が、全体の約14%を占め、流動化の拡大を示しているといえるでしょう。
出典:GOLD CAREER「転職の平均回数は?多いと不利に働くのか【転職を成功させるコツも解説】」
人材の流出は、採用側にとって採用や研修にかけるコストの増大を意味します。このようにオンボーディングが注目されているのは、費用や労力、時間といったコストをかけて採用した人材を早期になじませて戦力化し、定着を図ることの重要性が増しているからです。
●組織力の強化
オンボーディングは、組織力の強化につながります。基本的な考え方として、新入社員になじんでもらうだけではなく、採用側の受け入れる力も必要なためです。採用や研修は人事だけのものではなく、配属先の職場も含めた企業全体として取り組んでいくものと認識する必要があります。
典型的な新入社員研修に代表される「一律に同じプログラム」は、業務に必要な情報を知らせるという意味では効率的に機能するでしょう。しかし、新しい組織の一員として加わる社員の活躍や成長を促すとは言いにくい部分があります。
採用した人材と既存社員を含む職場という歯車同士が噛み合い、問題なく回るようにサポートするのが、オンボーディングです。その意味で、組織としての力が強化されパフォーマンスの向上につながります。
オンボーディングを実施するメリット
次に、オンボーディングを実施するメリットを見てみましょう。
●新入社員の早期離職改善と定着率向上
出勤初日の印象や配属先の上司の印象など、採用選考時にはわからなかった職場の現実が見えてくると、新入社員は不安やミスマッチを感じ始めることがあります。このミスマッチの意識を軽減するのがオンボーディングです。早期離職は、採用側だけでなく応募側にとってもリスクとなるため、オンボーディングの実施はどちらにとってもメリットです。
●新入社員のスムーズな戦力化
オンボーディングを通じて企業のミッション、ビジョン、バリューを新入社員に伝えることで、企業文化への適応を促進します。これにより、全社員が共通の目標に向かって一致団結して働くことが可能です。オンボーディングでは、必要なスキルや知識を体系的に学ぶ機会が提供され、新入社員は業務を遂行するための基盤を確立できます。
●社員のエンゲージメント向上
採用された人材だけではなく受け入れる職場側も取り組む活動という点において、オンボーディングには社員の積極的な関与が求められます。新人を第三者のように眺めるのではなく、それぞれの立場から会社に新入社員を迎え入れるということです。その点で、コミュニケーションの活性化や職場環境の改善が期待できます。
●組織としての生産性向上
社員のエンゲージメントが向上していくと、社内のコミュニケーションが活発になり、チームワークに良い影響を与えます。課題や悩みを打ち明けたり、素直に助けを求められるといった信頼に基づく関係性は、業務を行う上で重要です。
オンボーディングによって、温かく迎え入れられているという安心感を生み出せれば、業務に取り組むモチベーションが高まるでしょう。積極性や主体性、責任感などにも好影響が広がり、職場が活気づいて新しいアイデアやイノベーションを創造するきっかけになる可能性もあります。
●採用・研修コストの低減
オンボーディングは、採用・研修コストの低減や抑制に役立ちます。新入社員の早期離職を防ぎ、定着率を向上させることで、採用・研修コストの抑制が可能です。
またオンボーディングを継続的に実施することで、新人社員の諦めの気持ちや後ろ向きな考え方を徐々に払拭していくこともできるでしょう。
まとめ
オンボーディングには新入社員の早期離職低減や定着率向上、早期戦力化といったメリットがあります。ポイントとなるのは、新入社員をより深く理解し、寄り添おうとする姿勢です。
特に中途採用では、事前に働きぶりを把握できるリファレンスチェックを実施しておくと、受け入れる企業側も準備や心構えがしやすくなります。早期退職はどちらにもメリットがありません。マイナビのリファレンスチェック「TRUST POCKET」をぜひご検討ください。
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