バックグラウンドチェックとは?その効果と具体的な流れを解説します
- 1 | バックグラウンドチェックとは
- 2 | 日本と海外の比較
- 3 | なぜバックグラウンドチェックが重要なのか
- 3-1 | 法令遵守・企業コンプライアンスの高まり
- 3-2 | 採用リスク低減(経歴詐称・不祥事防止)
- 3-3 | ブランド保護・レピュテーションリスク対策
- 4 | バックグラウンドチェックの主な調査項目
- 4-1 | 学歴・資格チェック
- 4-2 | 職歴チェック
- 4-3 | 勤務態度・人物像(リファレンスチェックとの違い含む)
- 4-4 | 反社会的勢力との関係
- 4-5 | 破産・民事訴訟・犯罪歴
- 4-6 | インターネット・SNS調査
- 4-7 | その他(身分証確認、登記情報・貯蓄等)
- 5 | 調査方法
- 6 | 実施の流れ
- 7 | 費用と期間の目安
- 7-1 | 費用の目安
- 7-2 | 調査期間の目安
- 8 | 法律・個人情報保護との関係
- 8-1 | 調査OKな情報/NGな情報
- 8-2 | 注意点・違法にならないために
- 9 | 拒否・トラブル時の対応策
- 9-1 | 拒否された場合の判断基準と対応
- 9-2 | 内定取り消しや労務トラブルに発展させない方法
- 10 | バックグラウンドチェックとリファレンスチェックの違い
- 10-1 | バックグラウンドチェック:客観的な事実の確認
- 10-2 | リファレンスチェック:主観的な人物評価
- 11 | バックグラウンドチェックの最新動向
- 11-1 | 法制度・規制の動き
- 11-2 | 企業運用の標準化と対象項目の拡大
- 11-3 | 新しいユースケース
- 12 | バックグラウンドチェックの今後と企業の選び方(サービス選定ポイントなど)
- 13 | まとめ
- 13-1 | リファレンスチェック・バックグラウンドチェックサービスなら『TRUST POCKET(トラストポケット)』
- 13-2 | 【TRUST POCKETの特徴】
企業がバックグラウンドチェックを実施するには、理由があります。採用は人材強化のチャンスである反面、採用リスクに直面する機会でもあるからです。そこで今回は、バックグラウンドチェックの概要とその効果、具体的な流れについて解説します。
バックグラウンドチェックとは
バックグラウンドチェックとは、採用企業が選考時に応募者の学歴、職歴、犯罪歴、反社会的勢力との関係などの身辺情報を専門業者や内部調査で確認し、採用リスクを最小限に抑えるための調査です。
大企業や外資系だけでなく、法令遵守や企業コンプライアンス強化の観点から中小企業でも導入が進んでいます。入社後のトラブルや法的リスクを未然に防ぐ実効性の高い手段として社会的にも注目されています。

日本と海外の比較
欧米諸国ではバックグラウンドチェックが「採用プロセスの標準」とされ、身分証・犯罪歴・信用(クレジット)情報まで詳細な調査が行われることが一般的です。
それに対し、日本では個人情報保護法の規制もあり、調査範囲が限定されがちです。しかしグローバル採用、副業の受け入れ、外資系企業の台頭によって、調査の重要性や範囲が拡大傾向にあります。
なぜバックグラウンドチェックが重要なのか
近年、バックグラウンドチェックが注目される背景には、経歴詐称や不正行為による企業の損害事例が増加していることが挙げられます。具体的な理由をいくつか挙げていきます。
法令遵守・企業コンプライアンスの高まり
企業は労働者派遣法や会社法、暴排条例などを含む法令遵守が必須です。
バックグラウンドチェックは、採用時に企業が無意識に法令違反者や反社会的勢力を雇用してしまうリスクを排除し、トラブル予防につながります。近年は法的トラブル事例も増加しており、その抑止策として企業の責任が強く認識されています。
採用リスク低減(経歴詐称・不祥事防止)
世間を騒がせる不祥事や経歴詐称は、企業の社会的信用・評判に深刻なダメージを与えます。
求職者の応募書類は候補者の自己申告によるものですので、自分にとって不利益になることを記載していない可能性がないとはいえません。事前に履歴や素行、コンプライアンス意識も調査することで、採用ミスマッチや採用後のトラブル防止につながります。
また、調査会社によって確認された事実に基づいて採用可否を判断するという公平性を担保するためにも重要です。
ブランド保護・レピュテーションリスク対策
社員の不正や問題発覚は、企業ブランドや投資家・取引先といったステークホルダーの信頼に直結します。
発生後の対応コストや損害賠償リスクも踏まえ、事前に対応を考えることがレピュテーション維持に不可欠です。
【参考記事】レピュテーションリスクとは?採用における悪影響や対策について解説
バックグラウンドチェックの主な調査項目
企業が実施する主な調査項目とその目的について詳しく解説します。

学歴・資格チェック
卒業証明書や取得資格の真偽を確認します。日本国内でも経歴詐称によるトラブル事例はあり、信頼性の高い人材採用には不可欠なステップです。
職歴チェック
過去の勤務先や役職、在籍期間、退職理由を調査します。特に管理職や信任が問われるポジションでは職歴の正確性が重視されます。
勤務態度・人物像(リファレンスチェックとの違い含む)
元上司や同僚に人柄や誠実性を確認します。リファレンスチェックは主観的、バックグラウンドチェックは客観的事実に基づく点が異なります。
反社会的勢力との関係
警察庁や金融機関のデータベースなどを活用し、暴力団、反社会的勢力との関係を確認します。企業のコンプライアンス遵守の観点からも非常に重要な項目です。
破産・民事訴訟・犯罪歴
公的な記録や裁判情報をもとに破産歴、訴訟歴、犯罪歴を確認します。不正リスクや金銭管理能力を見極める材料として活用されます。
インターネット・SNS調査
ブログ情報や本人のSNS投稿、ネット上の言動を調査し、炎上リスクや不適切な発言の有無を確認します。企業ブランドの保護にもつながる重要なチェックです。
その他(身分証確認、登記情報・貯蓄等)
身分証や住民票、登記情報などを法的範囲内で確認し、情報の真正性や虚偽申請を防ぎます。
調査方法
バックグラウンドチェックの具体的な調査方法は3つあります。
独自で調べる
インターネット検索や自社で各公的機関、専門機関に問い合わせを行い、情報を収集します。コストを抑えることができますが、手間と時間がかかります。
専門のデータベースから調べる
バックグラウンドチェック専用のデータベースを保有するサービスに申込み、検索をかけて確認します。コストを抑えながら手間をかけずに実施することができます。
専門の調査会社に外注する
探偵事務所、調査会社などに依頼をして確認します。コストと時間がかかりますが、可能な限り高精度な結果を期待できます。
注意いただきたい点は、必ずしも調査の結果が保証されるわけではなく、過去に起きた出来事は拾いきれないことがあります。調査の進め方や深さも、職種や役職など企業の方針によって異なります。どの程度細かく確認するのか基準を設定した上で調査をしていきましょう。
実施の流れ
続いて実施の流れについて説明します。一般的には以下のように進めていきます。

目的と調査範囲の設定
採用ポジションのリスク水準に応じて、確認する範囲(学歴・職歴・資格、反社・訴訟・破産歴、メディア・SNS等)を決めましょう。
候補者への説明と同意取得
バックグラウンドチェックは個人のプライバシーに深く関わるため、必ず事前に候補者の同意を取得しましょう。不明瞭な説明や同意なき調査は違法になるリスクがあります。
候補者から証明書を提出
必要であれば、応募者から卒業証明書や職歴証明、資格証明書など必要書類を提出してもらいます。
調査会社・専門機関への依頼と調査開始
独自で確認する場合、直接、専門機関に問い合わせを行います。専門会社に依頼する場合、履歴書・証明書との照合、公的データベース参照、独自ヒアリングにより調査を実施します。
レポート作成・記録保全
調査結果をレポートにまとめていきます。調査会社を利用する場合、各社のレポートフォーマットに沿って提出していただきます。不明点は追加ヒアリングや証明の再調査をすることがあります。
費用と期間の目安
バックグラウンドチェックの費用や所要期間は、調査内容や対象人数によって大きく異なります。以下にて一般的な相場と注意点について解説します。
費用の目安
調査対象1名あたりの費用は、5,000円〜30,000円程度が一般的です。探偵事務所のような素行調査を依頼する場合、100,000円程度が多いです。
調査項目の数や深度によっても価格が変動します。たとえば、学歴・職歴の確認のみであれば比較的安価ですが、信用調査や反社チェックを含む場合は高額になる傾向があります。
調査期間の目安
調査に掛かる期間は通常1週間~2週間程度です。ただし、海外調査などは、調査対象国の法制度や情報取得の難易度により異なり、場合によっては1カ月以上かかるケースもあります。
法律・個人情報保護との関係
調査OKな情報/NGな情報
個人情報保護法や労働基準法に基づき、調査できる範囲は厳密に制限されています。
例えば前科、思想・信条・宗教・出自などの差別につながる情報は取得できません。調査は本人の同意範囲内で正当な目的を明らかにして行う必要があります。
注意点・違法にならないために
調査の合理性、必要最小限の範囲、情報の適切な保管と廃棄が求められます。候補者に調査目的・内容を説明し、質問・異議にも誠実対応することが重要です。
拒否・トラブル時の対応策
バックグラウンドチェックは採用リスクを回避するための重要な手段ですが、候補者が同意しないケースもあり、その場合は以下の対応が求められます。
拒否された場合の判断基準と対応
候補者がバックグラウンドチェックに同意しない場合、採用可否を慎重に再検討する必要があります。ただし、まずは調査の目的や必要性を丁寧に説明し、候補者の理解と納得を得ることが重要です。強制的な実施は、個人情報保護や労働法上のリスクを伴うため、避けるべきです。
内定取り消しや労務トラブルに発展させない方法
バックグラウンドチェックを実施する際は候補者との信頼関係を損なわないよう調査内容・目的を事前に明確に伝え、客観的な判断基準と手続き(例:結果開示・弁明の機会)を設けることが大切です。これらを実施することで内定取消などのトラブル回避と合理的対応が可能です。
バックグラウンドチェックとリファレンスチェックの違い
採用プロセスにおいて、候補者の信頼性や適性を見極めるために活用されるのが「バックグラウンドチェック」と「リファレンスチェック」です。両者には明確な違いがあり、それぞれ異なる目的と手法で実施されます。

バックグラウンドチェック:客観的な事実の確認
バックグラウンドチェックは、卒業証明書や資格証明、公的機関の記録などを通じて、候補者の経歴や情報の真偽を客観的に確認する調査です。学歴・職歴・犯罪歴・反社チェックなど、法的・社会的なリスクを回避するために実施されます。
リファレンスチェック:主観的な人物評価
一方、リファレンスチェックは、元上司や同僚など第三者から候補者の人柄や働きぶりについて主観的な評価を得る手法です。誠実性、協調性、リーダーシップなど、書類では見えにくい人物面の情報を補完する目的で行われます。
【参考記事】 リファレンスチェックとは?具体的な実施方法と注意点【2025年最新|人事担当者必見!】
バックグラウンドチェックの最新動向
国内では反社チェックの標準化と経歴・在籍確認の常態化が進む一方、教育・保育分野で性犯罪歴確認の制度化が予定されるなど、法制度・運用の両面でチェック範囲が拡大している。いくつかポイントを紹介します。
法制度・規制の動き
- 日本版DBSに相当する性犯罪歴の確認制度が2024年に制定され、遅くとも2026年施行見込みとされ、学校・保育機関のバックグラウンドチェック範囲が拡大する見通しである。
- 反社チェックは政府指針と各都道府県の暴排条例を背景に「事実上の必須運用」となっており、採用時に組み込むことが企業の標準業務として位置づけられている。
企業運用の標準化と対象項目の拡大
- 外資系企業だけでなく、国内企業でも内定前の反社・経歴照合の直列フローを定着させる動きが強まり、管理職・重要ポジションだけでなく一般職にも対象が広がっている。
- 金融機関や上場企業は監督・上場規則の要請から厳格な反社・関係者チェック体制を敷いており、役員や大株主まで確認対象を広げる運用が明確化している。
- 基本の在籍・学歴・資格に加え、公開情報・メディア検索、退職代行の利用有無、役員・取締役歴の確認など、職責に応じた追加項目を差し込む設計が一般化している。
新しいユースケース
- 新卒・第二新卒領域でも限定的に在籍(インターン・アルバイト)や学歴確認の検証を入れる企業が増え、採用スケジュール設計との整合が論点となっている。
- 保育・教育分野では性犯罪歴の確認が制度化される方向で、適正化のためのチェック導入・更新確認という「定期運用」ニーズが立ち上がりつつある。
バックグラウンドチェックの今後と企業の選び方(サービス選定ポイントなど)
サービスを選定する際は、以下のポイントを比較検討することが重要です。
調査項目の網羅性
学歴、職歴、反社チェック・SNS調査など、必要な項目が揃っているか
個人情報の管理体制
プライバシー保護や情報漏洩対策が適切かどうか
費用と納期
予算に合った価格設定と、採用スケジュールに対応できる納期か
調査精度と信頼性
情報の正確性、調査方法の透明性はどうか
まとめ
バックグラウンドチェックは「採用調査」や「雇用調査」とも呼ばれるもので、採用リスクの高い人を事前に見つけ出すことが目的です。チェック範囲や項目が多いことから、採用リスクの低減に役立つ反面、コスト高となることがあります。
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